公正証書遺言を作成する場合、公証役場に支払う手数料を教えてください。

公正証書遺言の作成手数料は、公証人手数料令により、下の表のとおり、目的の価額(資産の額)によって手数料が変わってきます。また、この手数料は、資産を受ける相続人あるいは受遺者ごとに計算されることになります。

具体的な手数料の算出については、日本公証人連合会のホームページ(Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか? | 日本公証人連合会 (koshonin.gr.jp)を参照してください。

資産総額は1億円で、相続人は長男と二男の2人の場合、手数料はどれくらいになるのでしょうか。

例えば、長男1人に全部相続させるとした場合、1億円までの手数料の4万3000円と、総資産1億円に至るまでに加算される遺言加算1万1000円、これに公正証書の用紙の枚数によってかかる用紙手数料が通常は約3000円程度ですから、これらの合計額(約5万7000円程度)になります。

また、長男に5000万円、二男に5000万円をそれぞれ相続させる場合、長男5000万円までの手数料2万9000円、二男5000万円までの手数料2万9000円、総資産1億円に至るまでに加算される遺言加算1万1000円と、通常かかる用紙手数料が約3000円程度の合計額(約7万2000円程度)になります。

よって、相続あるいは遺贈により資産をもらう人のもらう額によって手数料が計算されることから、総資産が同じでも手数料も変わってきます。

なお、公正証書遺言の中で、祭祀承継者(系譜、祭具及び墳墓といった祭祀財産を承継する人)の指定を記載する場合は1万1000円が加算されたり、公証人が遺言者の病床などに出張して執務をするような場合は、目的の価額(資産の額)の1.5倍で計算され、日当と交通費実費が加算されたりといった事由により加算されることがあります。

専門家(士業)に公正証書遺言の作成支援の業務委任をした場合の報酬額は、公証人手数料とは別途かかるのですか。

専門家に委任した場合、通常、①公証役場に提出する資料(遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本、不動産がある場合は登記簿謄本と固定資産評価証明書または納税通知書、預金・株等がある場合は預金先、金額、銘柄、株数などがわかる資料、証人2人の住民票)などの取得、②遺言原案の作成、③証人(公正証書遺言作成の場に2人の証人が立ち会う)の手配、④公証人との遺言内容や日程の調整などを受任者が行いますので、その報酬額、資料取得にかかった実費手数料、証人の日当などは別途かかります。

報酬額については、事務所ごとに報酬規定を定めているので一律ではありません。

ちなみに、上記の①提出する資料の取得、③証人の手配などをご自身でされるのであれば、すべて専門家に委任するよりは報酬額は当然少なくなると思います。

遺言書の作成を考えている方は、専門家に一度ご相談されることをお勧めします。