遺言書がないと、具体的にどんなリスクがあるのでしょうか?

遺言書がない場合、残された相続人全員で「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ:誰がどの財産をどれだけもらうかの話し合い)」をしなければなりません。

この話し合い、全員の同意が必須です。1人でも首を縦に振らない人がいると、いつまで経っても銀行口座の解約も、家の名義変更もできません。それどころか、仲の良かった兄弟姉妹が、お金をきっかけに絶縁状態になってしまうケースが後を絶たないのです。

「特に遺言書を作成した方がいい」リスク回避のパターンは?

パターン①:子供がいないご夫婦

「子供がいないから、自分が死んだら全財産が妻(夫)にいくよね?」というのは大きな勘違いです。子供がいない場合、配偶者だけでなく、亡くなった人の親や兄弟姉妹(親や兄弟が亡くなっている場合は甥・姪)も相続人になります。

残された妻(夫)が、義理の兄弟たちと遺産分けの話し合いをしなければならないため、精神的に非常に大きな負担になります。

パターン②:主な財産が「いま住んでいる自宅(不動産)」だけ

例えば、財産が「2,000万円の価値がある家」と「現金200万円」しかなく、相続人が子供2人の場合です。家をきれいに半分に切ることはできません。1人が「家をもらう」と主張すると、もう1人に渡せる現金が足りず、「家を売って現金化しろ!」と揉める原因になります。

パターン③:特定の人(同居してくれた子、内縁の妻など)に多く残したい

「最後まで介護をしてくれた長女に、この家を譲りたい」「籍は入れていないけれど、長年連れ添ったパートナーに財産を残したい」という場合です。遺言書がないと、法律で定められた割合(法定相続分)で機械的に分けられてしまうか、籍を入れていないパートナーには1円も遺産がいかないという事態になります。

パターン④:相続人の中に「認知症」の人がいる

相続人(遺産を分ける人)の中に、認知症などで判断能力が不十分な人がいる場合、そのままでは「遺産分割協議」を進めることができません。無理に進めてしまうと、その話し合い自体が無効になってしまいます。 手続きを進めるには、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人(せいねんこうけんにん)」を選んでもらう必要がありますが、これには時間がかかり、毎月の費用(報酬)も発生します。 遺言書で「誰に何を相続させるか」をあらかじめ指定しておけば、遺産分割協議をする必要がなくなるため、認知症の家族に負担をかけず、スムーズに財産を渡すことができます。

パターン⑤:相続人のうち「一人(一部)が行方不明」である

「長年連絡が取れず、どこに住んでいるかもわからない兄弟がいる」「前妻との間に子供がいるが、音信不通である」といった場合です。 遺産分割協議は「相続人全員」で行わなければなりません。たった一人でも連絡が取れない人がいると、話し合いすらスタートできず、全員の銀行口座や不動産の手続きが完全にストップしてしまいます。 行方不明の人を探す、あるいは裁判所で特別な手続き(不在者財産管理人の選任など)をするには時間と労力がかかりますが、遺言書が一通あれば、行方不明の相続人に関わらず、残された家族だけでスムーズに手続きを進めることができます。

遺言書には「公正証書遺言」と「法務局保管の自筆証書遺言」があると聞きました。どちらがおすすめですか?

結論から言うと、確実性を求めるなら「公正証書遺言」が圧倒的におすすめです。

それぞれの特徴を比較してみましょう。

比較項目公正証書遺言(公証役場)自筆証書遺言(法務局保管制度)
費用の安さ✕(数万円〜。財産額による)◯(一律 3,900円と格安)
手軽さ✕(公証人との打ち合わせが必要)◯(自分で手書きして法務局に持参)
内容の有効性(法律のプロがチェックするので確実)✕(法務局は「形式」しか見ない)
「認知症だった」と言われるリスク(公証人が直接面談するため極めて低い)✕(後から親族に疑われるリスクが残る)

迷ったときの選び方の基準

  • 「公正証書遺言」が相当なケース

少しでも家族間で揉める可能性(リスク)がある場合や、自分の親に遺言書を書いてもらう場合。お金を払ってでも「絶対に無効にならない確実性」を買うべきです。

  • 「法務局保管の自筆証書遺言」が相当なケース

家族仲がとても良く揉める心配がゼロで、単に「念のため、費用を抑えて形式的な遺言書を残しておきたい」という場合。

遺言書作成を専門家に相談するメリットは?

「法律の落とし穴」を回避し、あなたの本当の想いを形にできることです。

せっかく法務局に預けたり、自分で書いたりしても、書き方一つで「遺言が無効」になったり、逆に「遺留分(いりゅうぶん:法律上、最低限もらえる遺産の取り分)」を侵害してしまって、死後に家族が泥沼の裁判になってしまうケースがあります。

専門家に相談すれば、ご家族の状況に合わせた最適な文面を提案し、トラブルを未然に防ぐ「生前対策」をサポートできます。

少しでも不安がある方は、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。あなたのご家族にぴったりのリスク回避方法を一緒に考えましょう。

💻 参考になるホームページ(リンク集)

さらに詳しく知りたい方は、以下の公的なページも参考にしてみてください。

  • 法務省:自筆証書遺言書保管制度について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

(法務局に遺言書を預ける制度の、詳しい手続きや必要書類が確認できます)

  • 日本公証人連合会:公正証書遺言の作成について

遺言 | 日本公証人連合会

(公証役場で作成する遺言のメリットや、費用の目安が掲載されています)